
1月下旬。
前日に降った雪が富士山周辺の山々をうっすらと白く染め、天気予報は一日を通して快晴。
冬山としてはこれ以上ないほど条件がそろった日だった。
今回歩いたのは、
三方分山 → 精進山 → パノラマ台 を巡る人気ルート。
標高は1,400mほどと比較的低山ながら、富士山の展望に関しては屈指の絶景ルートとして知られている。
雪山初心者でも挑戦しやすく、「冬でも安心して富士山を楽しめる山」として高い人気を誇るコースだ。
■ 精進湖畔から登山スタート

朝9時頃、精進湖着。
湖面は鏡のように静まり返り、その奥には堂々とそびえる富士山の姿があった。
裾野までくっきりと見える完璧なシルエット。
この時点で、今日の登山が“当たりの日”であることを確信する。
気温は氷点下近くまで下がっていたが、風はほとんどない。
冷たい空気の中にも、どこか穏やかな雰囲気が漂っていた。
登山口からしばらくは緩やかな樹林帯。
地面には前日の雪がうっすらと残り、踏みしめるたびに「キュッ」という冬特有の音が響く。
■ 三方分山へ|静寂の雪道



登りが本格的になると、徐々に傾斜が増してくる。
ただし距離は短く、ペースを守れば息が上がるほどではない。
木々の間から何度も富士山が姿を見せ、そのたびに足が止まる。
冬の澄んだ空気のおかげで、山肌の陰影まではっきりと見える。
やがて到着した三方分山(1,422m)。
山頂に立った瞬間、視界が一気に開けた。
■ 三方分山山頂|息をのむ正面富士

正面に広がるのは、遮るもののない富士山の大展望。
白く輝く山頂部、青空との鮮やかなコントラスト。
写真では何度も見てきたはずなのに、実物はまったく別物だった。
眼下には精進湖と本栖湖。
さらに遠くには南アルプスの稜線まで見渡せる。
「これを見るために登ってきた」
そう思わせてくれる、まさにご褒美のような景色だった。
■ 稜線歩きで精進山へ



三方分山から精進山へ向かう区間は、緩やかなアップダウンが続く稜線歩き。
このルート最大の魅力は、歩いている間ずっと富士山が視界に入ることだ。
雪は薄く、アイゼンが必須というほどではないが、
日陰部分では凍結している箇所もあり、慎重な足運びが求められる。
それでも、景色が素晴らしいため疲れは不思議と感じにくい。
しばらく歩くと、**精進山(1,409m)**に到着。
ここから見る富士山は、三方分山よりも距離が近く、より迫力がある。
裾野の広がりまでしっかりと見え、その存在感に圧倒された。
■ パノラマ台|名前通りの絶景

精進山から少し下ると、多くの登山者が目指すパノラマ台に到着。
ここはまさに名前通りの場所だった。
正面には雄大な富士山。
足元には精進湖。
振り返れば本栖湖方面の山々。
360度、どこを見ても絵になる景色が広がっている。
この日は風も穏やかで、ベンチに腰掛けながらゆっくり休憩。
冬山とは思えないほど、静かで贅沢な時間が流れていた。
ここに着くまですれ違った登山客は一名。
パノラマ台では数名の外国人観光客の姿を見かけた。
この場所がいかに特別な展望地であるかを改めて実感する。
■ 下山と冬山の注意点
下山路は比較的歩きやすいものの、
- 日陰の凍結
- 下りでのスリップ
- 気温低下による路面変化
には注意が必要だ。
本日は使用しなくても大丈夫ではあったが、今回のような「うっすら雪」の状況では、
軽アイゼンやチェーンスパイクがあると安心だと感じた。
精進湖畔に戻る頃には、午後の柔らかな光が富士山を包み込んでいた。
精進湖周辺の雪は、ほぼ溶けていた。
精進湖畔では、日本人、外国人の観光客が写真を撮っていた。
朝とは違う、穏やかな表情の富士山が一日の締めくくりを飾ってくれる。
■ 登山データ(目安)
- コース:三方分山 → 精進山 → パノラマ台
- 距離:約8km
- 行動時間:約3時間前後
- 標高差:約400m。アップダウンがあり、累積では約800m。
- 難易度:★★☆☆☆(冬でも比較的安全)
■ まとめ|冬こそ歩きたい富士山展望ルート

三方分山・精進山・パノラマ台は、
- アクセス良好。降雪時は周辺道路状況に注意が必要。
- 危険箇所が少ない
- 富士山展望が圧倒的
という、非常にバランスの取れた名ルートだ。
特に、
雪がうっすら積もった快晴の1月下旬は、まさにベストシーズンの一つ。
本格的な雪山に挑戦するにはまだ不安がある時期でも、
これほど満足度の高い冬登山が楽しめる場所はそう多くない。
富士山を真正面から眺めながら歩く贅沢な時間。
また必ず訪れたい、そう思わせてくれる山行となった。